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2005年8月 6日 (土)

『くたばれ!ハリウッド』

98e114de☆☆1/2 こういう男の口車は楽しくもあるが、酒の肴にしかならぬ限界もある。

 
1970年代に活躍したパラマウントのプロデューサー、ロバート・エバンスについてのドキュメンタリー。柳下さんの批評で俄然みる気になった(でも映画館では見逃していた)。
 なるほど、エバンスの原作をもとに、ひたすらエバンスのモノローグが続きます。ハリウッドの虚々実々が暴露といえば聞こえがよいですが、リアリティを余り感じないのはなぜか? それはオープニングのテロップに表出しています。つまりここには事実をエバンスにとって都合のいい解釈でとらえられた世界があり、現実というよりは妄想癖のある酔っぱらいのホラ話的な物語であるということです。写真の使い方が如実に示していて、この作品はエバンスのモノローグに当時のフィルムやスチルで構成されている。しかしスチルはどうにでも使えるわけで、演出する側もそうやってエバンスの話に懐疑的な視線をさりげなく向けていることが感じられるところが面白いですね。(ジョン・ベイリーの撮影監督としての力量はやはりすごい!) しかしそこが限界でもあって、「ふーん、あっそう」で終わってしまう世界でもあります。少なくとも本人が話さない限りは真実は藪の中、どこまでいっても本音が出ない可能性もあるわけです。やはり複数の人の証言であぶり出した方が面白い人物ではあると思うのですが。
 映画ファンは、こういうプロデューサーという人種を知っておくにこしたことはないので、一見の価値はあると思います。でも楽しい気分になるというより、映画ファンはつくづく映画会社に踊らされているんだなあという、自虐的な気分になりますので、気分が滅入っている時はやめた方がいい作品です。

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