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2005年8月25日 (木)

『復讐者に憐れみを』

20050825_103652294 ☆☆☆ 痛い描写の隙間にある虚無感。

 あまりに暗い展開で韓国では興行的に大失敗したという話や、とにかく残酷描写がすごいとか、そんな情報が先行した中で、ようやくみたのですが、見終わった後、どっと疲れが出てくる作品でした。
 シチュエーションの原型に黒澤明の『天国と地獄』を感じたのは私だけでしょうか。最後の2人の対面は息が詰まりそうでした。復讐には際限がなく、復讐を果たすものは復讐される側になるという展開は『オールド・ボーイ』と同じです。避けられない『オールド・ボーイ』との比較でいうと、完成度は明らかにあちらが上ですが、なるほど本作を経て洗練されたのだと納得できます。この作品は荒削りなところがあります。復讐者とはどちらのことなのかを観客に突きつけてくる展開は真っ暗で、エンディングまでまったく救いがありません。ここまで徹底して不幸だと、逆にそこはかとなくユーモアが漂うことも多いのですが、本作には皆無。しかし緊張感が張りつめているという感じではなく、静寂の中で炸裂する暴力という感じで『3-4x10月』の頃の北野武作品を彷彿とさせます。逆に言うとユーモアを漂わせる余裕や、詩的な描写にまで高める技量が描き手になかったと言えるかもしれません。痛さを感じさせる残酷描写はさすがで、それでも埋められない心の空白、虚無感を感じさせたのはこの監督ならではです。ソン・ガンホはいつもながら的確な演技です。しかし注目はやはりシン・ハギュンとペ・ドゥナの若手2人ですね。彼らの存在がこの映画にイノセンスという要素をもたらしており、これがなかったらこの映画の作品価値は半減していたでしょう。
 この秋には復讐三部作の最終編『親切なクムジャさん』も公開されます。パク・チャヌクが三部作を通して描く世界は何か、とても興味があります。万人に勧められるタイプの作品ではありません(特に痛いのがダメな人は×)が、力作のわりに知る人が少ないのはもったいないと感じさせる作品です。

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コメント

コメントありがとうございます(*^_^*)
やはりイ・ヨンエさんは汚れてしまうんでしょうか!?
チャングムが完結してからの上映なので心して観ようと思います。
でも、楽しみです♪

投稿: hosomiti | 2005年9月 1日 (木) 00:38

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