『セルラー』
☆☆☆ ワンアイディアを巧みにふくらませた脚本の勝利。
全米公開時の紹介で気になっていたサスペンススリラー。約90分を一気にみせる佳作です。この作品、いわば『フォーン・ブース』の姉妹編。あっちが公衆電話から身動きとれなくなった男、こっちは携帯電話で偶然「助けて」とうけたことから救出のために右往左往する男。でも出来映えは断然こちら。
まず展開にムダがない。(無理はややある) のっけから一気呵成、LA近辺での出来事を巧みに伏線をはりながらタイトに物語が展開されます。脚本はラリー・コーエン。この人、近作『フォーン・ブース』のようにワンアイディアを膨らませることができる人ですね。監督もするとなぜか『空の大怪獣Q』『スタッフ』のように「うっそー」な珍作になりますが(笑)。キャスティングも地味ですが適材適所です。キム・ベイシンガーは正直やりすぎで目立ちすぎるぐらい。主役のクリス・エバンスはこの秋日本でも公開される『ファンタスティック・フォー』にも登場する(そう、ヒューマン・トーチ役です! 燃えてるぜぃ)注目株。本作では正直無難にこなしたという印象です。ジェイソン・ステイサムの存在感はいつもながらさすがですね。やはり敵役は強くて憎たらしくて魅力的でないといけません。渋い系でも金太郎飴にならず微妙な演じわけが出来るのがいいです。またウィリアム・メイシーのガンアクション! 渋い! 渋すぎる! 『フォーリング・ダウン』のロバート・デュバルを彷彿とさせる役柄です。この2人でぐっと締まりました。
残念ながら日本では大ヒットというわけにいきませんでしたが、これを見逃すのはもったいないです。だまされたと思ってみて、万が一お気に召さなくてもわずか90分。でも見終わったら「ああ、おもしろかった!」になること請け合いです。
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