『ドラッグストア・カウボーイ』
☆☆ そこでやめられるなら、なぜ最初からドラッグに手を出すのかが納得いかない。
CATVで途中までみていたのを最後まで鑑賞。惜しい。すごく惜しい。『俺たちに明日はない』になれた題材だったのに。予告編が素晴らしい出来(いまだに強烈に残っている。DVDの映像特典で鑑賞できます)だっただけに余計にそう思います。
たとえば同じくジャンキーを扱ったテリー・ギリアムの『ラスベガスをやっつけろ!』は映像によるトリップ体験を突き詰めた作品。またアロノフスキーの『レクイエム・フォー・ドリーム』はジャンキーの日常を突き詰めた作品。しかし共に不満だったことが人間の描かれ方がステレオタイプで、ドラマとしてのおもしろさに欠けていたこと。そして結局倫理的な立場からの描き方になってしまったこと。そういう意味でこの作品はジャンキーをスタイリッシュに描いてくれるのかなあと期待していました。(こういう感覚がすでに背徳的ですね) オープニングは鮮やかだったのに、ヘザー・グラハム演じる女の子のアクシデントあたりから話の疾走感が失われてしまいました。結局ドラッグを利用することに魔を感じさせられなかったこと、そしてマット・ディロンがなぜ改心するかに説得力を持たせられなかったことが敗因でしょう。
ガス・ヴァン・サントと私はあまり相性がよくないですね。『エレファント』以外は見事にダメです。『マイ・プライベート・アイダホ』や『グッド・ウィル・ハンティング』でもわかるように、彼が描こうとする対象との距離のとり方に芸がなさすぎです。ディロンとケリー・リンチには彼らのキャラクター以上の演技を必要とされない不運があります。本作も目新しさはありません。ジェームズ・レマーはその顔つきだけで相変わらず迫力充分。ウィリアム・バロウズは・・・あえて出す必要はあったのでしょうか(まあ出てくるだけでも後光は差してますが)。
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