『カンフーハッスル』
『少林サッカー』に続くチャウ・シンチー監督主演最新作は、ストレートに『功夫』(原題)。ブルース・リーへの憧れとともに、かつてのアクション活劇へのオマージュもたっぷりの作品となりました。
『少林サッカー』のべたべたしたネタをさらっと描くおもしろさは今回も健在。むしろ今作の方が好みです。とくに豚小屋と呼ばれる集合住宅に住む人々の描き方は見事で、琴を持った殺し屋との壮絶な戦いは必見です。しかし戦いがエスカレートしていくにつれて強さが絵空事になってしまうことが残念でした。今作の方が後味のよさがあるだけに、デジタルエフェクツでみせてしまったクライマックスには自分の中で血湧き肉躍る感覚がわきません。私がかつてジャッキー・チェンの何に感激したかといえば、彼のアクションに痛みと現実感があったからです。それがまるで『ドラゴンボール』のように、ただ場面として派手になるだけで、超人の上はさらなる超人といった積み重ねが、空虚に感じました。
本当は最後の対決は大肉弾戦になってもよかったはずです。そういう意味でチャウ・シンチーのオマージュは微妙に的をはずしているとはいえ、見応えは充分の1本です。
(109シネマズMM横浜2にて)
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