2020年2月18日 (火)

『小さな学校』

☆☆ 村上監督にとっての『スパルタカス』
 村上監督作品では唯一未見だった本作。フィルモグラフィ上では2作目となる本作は、閉校が決まった在籍児童数6名という小規模な小学校を追いかけています。『流 ながれ』でも組んだ能勢広カメラマンとの共同作品。この後『無名碑 MONUMENT』となるわけですが、『無名碑 MONUMENT』からはご自身でカメラを回していらっしゃいます。以前「自分で回してみたくなった」というお話をされていたのですが、本作をみるとそれが理解できた気がしました。
 この映画は記録映画として優れてる面はありますが、完成度という点では他の作品と比較すると、うーん…となるところがありました。何というか、学校生活の中で一番面白い部分を掴み損ねている気がするのです。長期取材によって生まれた『流 ながれ』で描かれた圧倒的な時間軸の圧縮と比較すると、いかにも淡泊な上に、核となる存在がはっきりしなかったために、「学校とは何か?」というもっとも観客が興味をもつ部分が描ききれていなかったのではないでしょうか。
 『流 ながれ』もそうでしたが、本作も構図が実に端正です。わかりやすく正面を見据えて、奇をてらうことなく記録映画としてのセオリーをきちんと守っています。ところがこれは諸刃の剣で、映画的な興味でいくと変化が少ない分、全体の構成に起伏が少なかったり、先にこんなことが起きるのではないかと逆に予想しやすいという面があります(ちなみに『流 ながれ』はそれを長期撮影という別の強みがあることで、作品全体の時間軸を圧縮したことで見応えを生み出していました)。一方、村上監督自身が撮影された構図は、『東京干潟』のようにドキュメンタリーというよりは劇映画的な奥行きのあるフレーミングが多く、とてもドラマチックなのです。もちろん作為的になってしまうというデメリットはありますが、村上監督は自らと対象者の交流をもドキュメントにすることで、そこを逆手にとっています。本作での一輪車に乗っている子どもたちのシークエンスと、『東京干潟』でしじみのおじさんを自転車でずっと追跡するシークエンスとを比較すると、両者の資質の違いがくっきりと浮かんでくると思います。
 ラストの校歌のシーンはよかったですね。あそこは村上監督らしいと思いました。それもふまえると。きっと村上監督は編集をされていて、子どもたちや先生に話しかけたくなったのではないかと、感じたのです。なぜなら学校とは、人が集まり人が交流することで生み出される空間であること、そしてそこにいる人たちの存在によって化学変化が生まれ、大きく姿を変える場所だからであるからです。つまりここでは、はっきりともっと人にクローズアップするべきでした。例えば校長先生(村上監督の王道でいくならば、これな気がします)、例えば担任の先生、もっといえば児童は1人でもよかったかもしれません。もし『東京干潟』のように、校長先生と監督がやりとりしていたら、異色の学校物になっていた気がします。
 本作は村上監督にとっての『スパルタカス』(S・キューブリック)なのかもしれません。しかし村上監督のフィルモグラフィを俯瞰した場合、絶対に見逃せない作品です。ここでやりたかったことが『無名碑 MONUMENT』へとつながり、『無名碑 MONUMENT』での経験が、『東京干潟』『蟹の惑星』につながっています。機会があればぜひ。

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2020年2月 8日 (土)

「金子修介と中村由利子のバックトゥー・ショーワヘーセー」 ~バレンタインにラブソングを~

 番組については映画ライター小原雅志さんが、ときどきツイートされていました。しかしなかなか聴くという状況が難しく聴き損ねていました。その後、小原さんに番組関連のイベントがあるということを教えていただきました。最初はトークショー? 公開録音? 程度の認識でしたし、この日はすでに先約ありだったので、ちょっと迷ったのです。ただその後、宮島依里さんの歌があるかも?という情報がありました。一昨年の「夏への扉を、もう一度『1999年の夏休み』30周年音楽会」はもちろん行きましたが、昨年の「1999年の夏休み2019」音楽会はチケットが早々とソールドアウトとなってチケットを取り損ねるという大失態! 今回は万難排して行かねばとなりました。

Bossa Nova & Jazz Club Keiについて、中に入って驚いたのが会場の規模。
「こんなこぢんまりした場所で聴けるの?!」
中村由利子さんのピアノと宮島依里さんのお姿をこの至近距離で味わえるのは想定外だったので、まず大興奮です。会場で小原さんと合流し、久しぶりに映画談義(今回もお世話になりました。ペコリ)。

 中村さんと金子監督が登場。番組もきっとこんな和やかな感じで進んでいるんだろうなあという雰囲気です。そこに宮島依里さん登場。
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 もう本当にステキです。しかも今日はトーク中は写真撮影可!(一眼持ってくればヨカッタ・・・)。おそらくこの中村さんの言葉と宮島さんの歌で 完全に私もスイッチが入りました。
今日は宮島依里デーだあ!
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 依里さんの歌がうまいのは百も承知。でも生歌は初めて。もう大感激ですよ。「赤いスイートピー」から始まり、「また君に恋してる」(完全に本日の私の心境とシンクロです(汗))と続いて、『1999年の夏休み』ファンにはたまらない「終わりの来ない夏」と、映画ファンにはたまらない『ガメラ3邪神覚醒』の主題歌「もういちど教えてほしい」で、完全にノックアウトです。そしてここで中村さん発案のサプライズ! 実は依里さんの誕生日が2月3日だったので(これは私も忘れていました・・・)、みんなで中村さん伴奏でハッピーバースデーの合唱! いやあ、祝っている私の方が幸せです(笑)。
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 後半は私たちのリクエストをもとに3曲プラスアンコール。「セカンド・ラブ」「ミッシング」「守ってあげたい」「シルエット・ロマンス」の、これまたまさかの来生たかおの名曲が連続! あっ、ちなみに「守ってあげたい」が何の映画の主題歌だったかに『ねらわれた学園』!と即座に反応して声を上げた会場の男は、映画族で薬師丸ひろ子大好きだった私です(汗)。そんな私ですから「セカンド・ラブ」は1982年! 「セーラー服と機関銃」(1981)より前だもん!とMCトークの勘違いにも心の中でつぶやいてました(大汗)。そして最後は「夜空ノムコウ」を会場みんなで。中村さんのピアノ伴奏と依里さんの歌と一緒に歌えるなんて、こんな贅沢なことはあるでしょうか!(しかもこの時だけは演奏中も撮影可に。歌う姿を写せました!)
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 2年前のイベントは完全に映画『1999年の夏休み』と中村由利子デーでした(もちろんこの作品も音楽も私の人生の重要な部分で、そのことはこちらにまとめました)。でも今日は宮島依里コンサート、いやリサイタルという表現の方がふさわしいかも知れません。それがどれだけ私にとって嬉しかったことか!
 あの頃は数少ない情報を集めて宮島依里さんの姿を求めて、当時夜型生活だった私が「ドーナツ6」のために早起きしてました。「3年B組金八先生」のニンジン嫌い娘や「リトルボーイ・リトルガール」の戦時中の少女(自己紹介の場面で歌声を聴かせる場面が!)も印象的でした。日本語吹替のボイスキャストでお名前をみた時には、どれほど嬉しかったことでしょう! 『ドーソンズ・クリーク』や『CSI:マイアミ』は宮島さん目当てでみてましたし、記憶があっていれば確か『サンシャイン2057』だったと思います。何の気なしにみていて、ローズ・バーン(この方も素敵な女優さん!)の声を「誰だろう?」と思ったら、依里さんとあってビックリしたことも。ただ声優さんとして活躍されていることはとても嬉しかったけれど、一抹の寂しさがあったのも事実なのです。もう依里さんのお姿をみられることはないのかなあと。プロダクションばおばぶの声優イベントには出ないのかなあ、と思っていたこともあったぐらいです(汗)。ですから2年前の「夏への扉を、もう一度『1999年の夏休み』30周年音楽会」や『1999年の夏休み』のデジタルリマスター版上映時のイベントで、生の依里さんに初めてお目にかかれたことも大感激でしたが、今日は間違いなく私にとって、宮島依里さんの魅力をひたすら実感できた時間だったのです。
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だから! 
「あっ! 今日はお見送りに依里さんが!」
 最後までミーハーモード大発動! 昨年のイベントには行けなかったのでCDを購入することにしました。そうしたらそこにいた依里さんが私に

「ずっと客席で私の歌をニコニコしながら聴いてらっしゃいましたよね。それで私も笑顔で歌えたんです。」

あああああああああああ、女神さまが私にもったいないお言葉を!
 ニンマリとぽわーんとした顔で聴いていたのは間違いないでしょうし、席が舞台に近く確かに何回か目が合った気はしてましたが、まさか本当にみられていたとは! この一言で天にも昇る気持ちになるとは、こういうことでしょう。CDにサインを! そして握手まで! あああああああああああああああああああ 感激!!
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 タイムマシンがあったら大学生の頃の自分に教えてあげたいです。
君は魅力と才能に溢れた最高の女優さんのファンになったのだと。
ずーっとファンでいられてヨカッタと実感できた最高の時間でした。この時間に関わったすべての皆様に感謝です。ありがとうございました。

さっ、次は夏、また六本木クラップスだなあ!

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2019年12月 4日 (水)

U2(さいたまスーパーアリーナ)

 

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 U2は初来日公演以外は幸運なことに全てみています。1989年のは映画『U2/魂の叫び』に負けた感じ、1993年のは完璧なテクノショーケース、1998年は究極のロックショウ、2006年は原点回帰のロックライブ、とずっと楽しんできました。
 さあ、13年ぶりの来日公演。なのですが実はあまりテンションは上がっていませんでした。まずチケットが高かった(汗)。そして「ヨシュア・トゥリー」の再現というコンセプトにピンと来なかったのです。ほとんど事前情報がないまま迎えたライブは、おそらく我が生涯でみた数々のライブの中でも三本の指に入るであろう、これがU2!としか形容しようがない唯一無二のU2ライブでした。

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THE JOSHUA TREE TOUR 2019.12.04@さいたまスーパーアリーナ

Sunday Bloody Sunday
I Will Follow
New Year’s Day
Bad
Pride (In the Name of Love)

Where the Streets Have No Name
I Still Haven’t Found What I’m Looking For
With or Without You
Bullet the Blue Sky
Running to Stand Still
Red Hill Mining Town
In God’s Country
Trip Through Your Wires
One Tree Hill
Exit
Mothers of the Disappeared

Angel of Harlem

Encore:
Elevation
Vertigo
Even Better Than the Real Thing
Every Breaking Wave
Beautiful Day
Ultra Violet (Light My Way)
Love is Bigger Than Anything in its Way
One

 コンサートは大きく3つに分かれていて、初めは初期から5曲、真ん中にアルバム「ヨシュア・トゥリー」を全曲、そしてクライマックスにそれ以降の曲と、結果的にバンドの歴史を俯瞰する形になっていました。しかし長年活躍しているアーティストがやるようなグレイテストヒッツみたいなセットリストにはしなかったのがU2たる所以でしょう。中心に「ヨシュア・トゥリー」を持ってきたことにはいくつかの意味があったと思うのです。

 1つは「ヨシュア・トゥリー」という「アルバム」という形で発表された表現が現在でも通用するほどの力を持つことを証明したこと。ジャケット写真(そうそう、アントン・コービンも会場にいるよってボノがMCで言ってましたね)まで含めての1つの作品だったと言える「ヨシュア・トゥリー」は全く色褪せることなく、そのメッセージも力強く伝わってきました。
 2つめは結果的に1987年に北米ツアーが行われた公演を追体験できたこと。映画『U2/魂の叫び』で収録されている公演をみて日本のファンは「はやく来日公演を!」と思っていました。その後、1989年の"Love Comes To Town Tour with B.B. king"で私たちはそのステージを楽しむのですが、あの映画で味わった興奮はやや減退していた気がします。それがほぼ30年後に目の前で演奏されたのですから。彼らは活動初期の頃を自虐的に俺たちは音の大きなフォークバンドだったと語ることがありましたが、今回は間違いなくロックンロールバンドでした。
 3つめはパフォーマーとしての彼らのスゴさ。正直前回のツアーでは、みんな「年とったなあ」と思ったのですが、今回はそんな場面は微塵もなかった。何しろ2時間20分、ほぼノンストップでの演奏。それどころか、「ヨシュア・トゥリー」の全曲はアレンジもほとんど変えず、でもオリジナルのアルバムや今までのツアーでの演奏よりも素晴らしいと感じたものが多かったです。特に私の大好きな"One Tree Hill"と"Exit"はライブでは初体験だったのですが、とても60過ぎの4人組がやっているとは思えないトンガリ方! ここまでの年月で彼らはバンドとしてスゴイレベルに進化したこと、それでもバンドの本質を変えない愚直さを忘れなかったことを、しっかりと私たちの前で証明してみせたのです。

 アンコール部分にあたる近年のヒット曲のところではショー的要素も満載しながら、彼ららしいメッセージ性も出ていました。何より今回はこの日本の政治が滅茶苦茶になっているせいもあって、いつもよりも素直に自分の心に届いた気がします。女性権利の向上や地位向上に貢献した方々の写真をみていて、相変わらずやっていることブレないスゴサをあらためて感じました。

 最高にカッコイイライブでした。チケット高いなんて言ってゴメンナサイ(汗)。それ以上の物を受け取りました。あなたたちの音楽が自分の人生の中にあってよかったです。あなたたちの音楽に合う生き方をこれからも目指していきたいなと思いながら、今日のセットリストで作ったプレイリストを聴いて家路につきました。

 U2、本当にありがとう。


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2019年11月 2日 (土)

「ゆきのふぁん」はじめました

 さすがに有希乃さんのネタが増えすぎて、いろいろと差し障りが出てきそうなので(汗)、有希乃さんネタは別のサイトにまとめることにしました。ちなみに落語ネタも別にしています。あまり自分の近しい人間にはどちらもエヘヘ・・・という感じなので、どっちもここにリンクはあえてはりません。それなりのワードで検索してみてください(大汗)。こうしてここは無味無臭になるはずなのですが、そうはならないのが世の中の不思議なところですね(笑)

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2019年10月31日 (木)

FMサルース「FUJITA MISA RADIO SHOW みさラジ♪」(有希乃さん出演)

 10月30日に21歳の誕生日を迎えられた有希乃さん。その有希乃さんが31日にFMサルースの公開スタジオでの番組に出演されることになりました。

あっ、もう状況書くのがまわりくどいし、結論が同じパターンなので・・・

行っちゃいました(汗)。

 正直ラジオなので行く必要があるかなーと思いましたし、場所を知っていた(のんびりと公開スタジオを眺める雰囲気のところではないかなー、と(汗))のでどうしようかと迷ったのですが(汗)。ただ今回は行ってよかったです。

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とにかくキュート! スタジオでの有希乃さんをご覧になった方どこかのアイドル?と思われても何の違和感もないでしょう、というぐらい。表情がくるくると変わります。感受性が本当に豊かな方なのでしょう。こんなに小柄でしたっけ?と再認識(ごめんなさい!)。歌ってる時と全然雰囲気が違います。こういう等身大な感じの有希乃さんもいいです。
○お話の内容自体がすごく楽しかった。(これはパーソナリティの方の力が大きいですね。スバラシイ!) アルバムのこと、曲作りのこと、影響を受けたミュージシャンのこと、ちょっとしたプライベートのことなど、短い時間で盛りだくさんでした。

 収録後、有希乃さんと、有希乃さんファンの方にはおなじみ、プロデューサーの尾飛さんにご挨拶することができました。ありがとうございました。

<ちょっと思ったこと>
で、またまたちょっとだけ生意気なことを書きます。

それは今日のラジオのように有希乃さんの魅力全開!な感じが、有希乃さんのツイキャスにもっとあるといいなあ、という点です。

 実は私、有希乃さんのツイキャスは別として。ツイキャスなどのいわゆる動画配信(特にライブ放送)というものがあまり楽しいと思うものが少ないと感じています。これには2つ理由があって、ひとつはそもそも視聴者を楽しませるレベルを生放送で進行させるのは物理的に難しいというのが放送の分野では常識で、いかにプロがやろうともグダグダになっちゃうことが少なからずあること(それが魅力でもあるのかとは思いますが)。そしてもう1つが配信番組が基本的に番組進行を当事者がそのままやるケースが多いので、番組進行上の「客観性」に欠けて視聴者が求めているものが足りないままになっていること、です。有希乃さんはツイキャスで歌もトークも進行もとなるので大変だなあと思いますし、今のままでも充分楽しいです。ただ今日のラジオの有希乃さんのトークはそれ以上に魅力的だったと感じた部分が大きかった、ということなのです。

 有希乃さんのツイキャス自体のコンセプトが演奏をライブ放送で、という部分かと思いますので、そういう意味でMC的なトークになるのは自然なことだと思います。ただ。ご自身をさらけ出す難しさをお話されていましたが、おそらく有希乃さんはすごくシャイな方なのだと思います。有希乃さんのツイキャスをご覧になった方はわかっていただけると思うのですが、トークの部分はすごく言葉も選ばれているし、ましてや何かを自慢げに強く自己主張される様子は感じられません。しかし、ご自身が配信番組を進行する立場でもある以上、それがすごく受動的に感じられてしまう部分はあるかもしれません。例えばなのですが、「とゅもろ」発売記念のツイキャスがありました。あの時は今日のラジオ出演でされたようなお話をされていたらよかったと思いました。そういう意味で、進行の方がいると「とゅもろ」のイントロを聴いて欲しいとか、「つかれちゃって」の部分は詩とメロディが一緒に下りてきたとか、東横線が実話だとか、そのあたりをご自身で話しやすかったのかもしれません。また何より今日の番組で受け答えされている時のような表情がたくさん出てくると(音声だけで楽しまれた方、申し訳ないです)有希乃さんの魅力がまた伝わっていいよなあと思います。

 ああ、なんかまた生意気なことを書いてしまった! スミマセン! 老害にならないようにしなくては・・・。本当は「Tear」という歌がどれほど魅力的で感動的だったかを語るつもりだったのですが、それはまた次回!

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2019年9月24日 (火)

SHIBUYA ! PARTY! PARTY! vol.41 ※有希乃さん出演(SHIBUYA TAKE OFF 7)

 毎年この時期は大変忙しいです。期末という繁忙期。また夏シーズンが終わると、映画もグッと渋い作品が増え、楽しみです。ここに特集上映が加わり、真打ち披露興行だの、娘たちの学校行事だのが加わってきますから、突発的な予定変更は身動きとれません(楽しいんですけどね)。さらに家族で2人も誕生日(実は私も今月で50代に突入)。いやあ、忙しいなあ・・・。
 そこに降って湧いた有希乃さんのライブの予定。しかも今回はライブハウスが会場だ。ライブハウスでみたかったからこれは嬉しい。でも先週行ったばかりだしなあ。えっ!24日! いやでも平日だぞ・・・予定が激詰まりだけど・・・これはさすがに無理だろう・・・いやあ、無理だなあ。

行っちゃいました、渋谷に。
(いい加減、このパターンばかり連発すぎてスミマセン)

 だってこの日、私の誕生日で(汗)、しかも家族からのお祝い(ありがとう、毎年(泣))がみんなの予定を合わせるために前日になった! これは「行け」という天の啓示か!(ホントか??)


時間ギリギリセーフで到着しました。ライブ自体に行く回数が激減している私にとって、ライブハウスなんて多分20年ぶりぐらいではなかろうか。いや、地下に下りていくのがライブハウスの王道だよね、なんてくだらないことを思いながら、中へ。

ちなみに本日のセットリスト
1:とゅもろ
2:飛行機
3:1日おきのアイ
4:がんばれなくなっちゃった

とりあえず感想を・・・。
・まずは元気そうで何よりでした(後述)
・うん、ライブハウスでの有希乃さんの歌声、いい! 持ち時間が短かった中で、すごくエネルギッシュな歌声でした。ライブハウスが似合うミュージシャンって一番カッコイイですよね。
・「とゅもろ」から入る曲順もいいですね。一気にギアがあがった感じで。
・「飛行機」今日の一番! またまた私の中でポイントアップです。ライブ映えしますねぇ!
・「1日おきのアイ」実はまだ知らなかった曲でした。いい曲でした。「とゅもろ」のアルバムがわりとポップな曲調のものが多いので、今日は逆に印象に残りました。アコギ1本の曲をじっくり聴きたいなあ。
・「がんばれなくなっちゃった」この曲で締めるのもいいですね。オジサンはこの後、仕事をがんばらなくちゃいけなかったのですが(汗)、ハハハ。歌で明るく終われるのはよいですな。

ここからは余談。
・今日はいろんなアーティストの方が出られるので、興味が持てたら、と思ったのですが2組目の方でギブアップ。私の音楽の好みは完全に雑食系で洋楽がメインとはいえ、何でも聴いてきた人だけれど、新しく興味を持てる幅がやっぱり狭くなってるんだろうなあ・・・。
・なので2組目の方の時にはライブハウス内をじっくり観察(ごめんなさい)。今のPA機器類って本当にコンパクトで高能率。コンソールも使いやすいんだろうなあ。まあオジサンはそもそもワイヤレスを信じない世代なので、ここですでに世代間の断絶はあるけれど(汗)。

 というわけで帰り際にごあいさつ。昭島の後に発熱されたとのことで心配しましたが、そりゃ全国デビューですもん、発熱もしますよね(汗)。在庫僅少な「1日おきのアイ」のCDを購入できました。パチパチ。自分へのご褒美です。(ただ「実は今日、自分の誕生日なんです」というのは、さすがに恥ずかしくて伝えられなかったです(汗))

 今日は、かなり無理した予定だったのですが、無理して来てよかったです。ライブハウスの有希乃さん、本当にいいです。当たり前だけれど、やっぱりこういう所の方が似合っています(昭島モリタウンの有希乃さんもスゴイなあとは思ったけれど、やっぱりあそこは音楽を聴く場所としては、かなりハードルは高いかなとも思いますから)。それと自分は有希乃さんの曲も好きなんだけれど、有希乃さんの歌声が好きなんだなあ、とあらためて実感しました。それは何というかPAのスピーカーからポンと出て、小屋全体を包むような音っていうか、こればかりは少しでも裏方かじった人じゃないとわからない至福なんです。音楽を聴いている時の、忘我の境地ってところでしょうか。自分で調整する立場なのに立場を忘れて聞き入っちゃう時ってあるんです。そういう歌声なんだなあって思います。贅沢な時間でした。

 ライブ、どんどんやってください。やってほしいです。ライブハウスで定期的に聴きたいです。自作の曲、カバーの曲、どっちでもいいですが、リリース後の喧噪が少し落ち着いたら、もう少しじっくりと長めの時間で聴きたいです。

 さあ、次は高円寺ですが、今のところ行けません・・・って言ってて、また直前でどんでん返しだと嬉しいのですが(汗) でもまた次の機会を楽しみにしています。

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2019年9月18日 (水)

有希乃イベント(昭島モリタウン 東館1F光の広場)

 先日、ハリコンでマッツ・ミケルセン氏と念願の対面を果たしたその日、実は同時間帯にお台場でとても気になるイベントが開催されていました。前回紹介した有希乃さんのインストアイベント。


行きたかったなあ・・・というのが前回。その後、有希乃さんのイベントが数カ所であるということが告知されていました。

行っちゃいました、昭島に。
(最近、この展開が多すぎて反省)

 だってお台場行けなかった(正確に言えば会場には行ったけど、始まる前に移動しなくてはならず聴けなかった)のが、やはり相当悔しくて・・・。
 昭島なんてMOVIXの開館直後に一度行ったきりだなあ、と思いながら会場となるモリタウンというショッピングモールへ。うん、お台場のタワレコとは違う何というかアウェー感というか・・・。ステージが設営されているとはいえ、イスで待っているのは開演前まではちょっとだけ恥ずかしかったです(汗)。
 あっ、有希乃さんだ! 天文館の時とは違ってすごく大きく見えました。全国デビューオーラ?! 衣装のせい? いやヒールのせい??(笑)と思っていると、サウンドチェックをされて、いよいよスタート。

ちなみに今日のセットリストお台場と同じ。アルバム6曲中5曲の大判振る舞い!
1:がんばれなくなっちゃった
2:飛行機
3:スーサイダー
4:きっと君なら
5:とゅもろ

とりあえず感想を・・・。
・スゴイ! 会場のアウェー感に臆さない有希乃さん、さすが。始まって会場の空気が変わってました。会場を味方につけるというのはとても難しいことを自分も落語をやる立場で、痛感しているだけに、すごいと思います。
・うん! やっぱり有希乃さんの歌、本当にいいですねぇ。CDもよいけど、生歌だとまた格別です。
・「飛行機」、CDと印象が変わりました。ライブ映えする曲ですね。アルバム自体、バンドサウンドのアレンジの曲が多めなので、生演奏だとまた違うのでしょうね。24日の渋谷(この日は行けない!)どんな感じになるのでしょう。 
・「きっと君なら」 ちょっとうるっと来てしまいました。自分は天文館ではじめて聴いて。大好きな曲になって。それが全国発売されたCDに収録されて。目の前で有希乃さんが歌ってて。そんなこの曲をまた、きっとここで聴いている誰かが受け止めて好きになって・・・、そんなこと考えてたら年甲斐もなくジーンとしてしまいました。
・「とゅもろ」すんごくカッコよかった!! いやー、これはライブで聴きたいでしょ! 有希乃さんの生ギター前面オシで聴きたい! 何よりバンド生演奏で聴きたい!(ベースラインがさりげなくカッチョイイ)
・私が大好きな「おやすみなさい」がないのは仕方がないですね。いつかアコギ1本で聞きたい曲です。
・「かわいいわね」「有名なの?」と会場にいた年配の女性の方たちの会話。ふむふむ。だからこそ有希乃さんのMC「ここで聴いたことが自慢できるように成長したい」がカッコよかったです。
・演奏後、ご挨拶させていただきました。お話しできて嬉しかったです。CD(3枚目!)サインいただいちゃいました。カンバッジもやっとゲットしたぞー。
・しまった。全然写真を撮ってなかった・・・。ちょっと悔しい(汗)。

キザな書き方をするならば、音楽は出会いです。

 私の心と体を構成している「モノ」の一部分は、たくさんの人がつくりあげた芸術からできていると思います。映画、音楽、小説、そして落語が多いと思いますが、なぜそれが好きなの?と言われても、そしてどうして好きになったの?と言われても、説明は難しいです。
 自分もあの日、鹿児島にいなければ。天文館で再度白くまを食べようとしなければ。帰り道に別のルートを歩いていたら。有希乃さんと「きっと君なら」には会えませんでした。そして今は、有希乃さんの歌をまた聴きたいなあと思っていますし、「きっと君なら」だけでなく、有希乃さんの歌声や曲の素晴らしさが、少しでもたくさんの方に届くといいなあ、と心から願っています。だから今日、偶然にも昭島にいて、有希乃さんを聴いた方の中で、きっと私と同じようになる人がいるんだなあと思うと、それってスゴイことだよなと1人うんうんと頷いちゃってました。
 それから有希乃さんと私の長女はほぼ同世代です。大学生として自分の進路に向けての活動だったり、部活(ラクロス部)だったり、もちろん大学生としての日常だったり、娘もまた自分の夢に向かって日々を過ごしています。有希乃さんの歌っている姿をみていて、「かわいい!」というより「がんばれ!」と応援したくなるのは、ルックスもキュートだけれど、そういう部分もあるのかもしれません。

 夢に向かって歩いている有希乃さん、これからも応援してます。

さっ、次は高円寺か??(笑) いや、こんなこと言ってて24日に渋谷出没??(汗)

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2019年9月15日 (日)

ハリコン21 マッツ・ミケルセンに会えた!

 有希乃さんのインストアライブを断念させた先約はハリコン21でした。あのマッツ・ミケルセン氏の来日イベントだったのです。映画俳優さんは映画で充分、と思っていますが、別格のご贔屓さんだとミーハーモードを発令させる私です(汗)。
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 私がマッツ・ミケルセンを映画でみたのは、『007/カジノ・ロワイヤル』のル・シッフル役でした。その時も、血の涙を流す男ということで、悪役男泣きのブラッド・ダーリフ級の個性爆発ぶりでしたが、強烈な印象を受けたのがスザンネ・ビアの『アフター・ウェディング』でした。ここでの彼の役どころは、突然元彼女との間に娘がいたことを知らされる純粋な男。素晴らしい演技とその笑顔にやられてしまいました。さらに私のマッツ好きを決定的にしたのはやはりTVシリーズ『ハンニバル』。殺人鬼レクター博士を実にクールに、そして知的に演じておりました。その後は主役も脇役でも大活躍で、ハリウッド作品にも何本も登場し、今では日本での知名度もアップしています。2015年に『悪党に粛正を』で初来日した時は、関係者の想定を上回るファンの熱狂ぶりで大騒ぎになりました。その後も何度か来日しているのですが、運悪く機会が合わず。今回は情報をつかんで、即準備でした!

 短い時間だけでしたが、それでもオーラが違います。マッツさん、気さくでした。スケジュール的には最終に近くて、相当お疲れだったと思うのですが、写真はポーズに応じていただきました。
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 サインは『アフターウェディング』のパンフレットに。「この作品がきっかけで・・・」と話したら「『アフター・ウェディング』だね。ありがとう」と答えてくれました。
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 ハリコンのイベント自体はこんなものでしょう。マッツさんなくして成立しない感じです。ただこの感じが多分ハリコンの良さでもあって、これ以上混んじゃうと・・・という気もしました。券で散財したのは事実ですが悔いは無し!(グッズは購入せず、『永遠の門』のムビチケだけ購入) マッツの兄貴、まだまだついていきます!

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2019年9月14日 (土)

有希乃さんとの出会いと、1st album「とゅもろ」のこと

 鹿児島遠征ではいろんな思い出があります。白くま、知覧、中津、宮崎地鶏、そして台風と新幹線!(笑) そんな中のひとつに、あるシンガーソングライターの方との出会いがありました。

名前を有希乃さんといいます。
「とゅもろ」の画像検索結果

 2泊3日の2日目、台風上陸で予定が大幅に狂って疲れてしまった8月6日の夜。こりゃ白くまアゲインだなあとホテルから「天文館むじゃき」に向かって夜、散歩してたら、なんと浴衣の女性がギター抱えて地べたに座り込んでいました。まあ、それだけでインパクト充分(いろんな意味でですが)。まだ始まりそうになかったし、どこかの高校生の子(すごく小柄だった)かなあとか思いながらそこを離れ、まず白くまで癒やされ(汗)、その帰り道。同じ道を帰っていると先ほどの子が歌っていました。

 ところが予想に反して(エラそうでごめんなさい)歌声が抜群にいいのです。のびのび歌っているけれどアマチュアのストリートミュージシャンにありがちな、我流な感じじゃない。ひょっとしてプロ?と思いながらフライヤーを手に取ると。説明を読んでもよくわからなかったのですが、少なくともアマチュアではないことはわかりました。そうこうしているうちに次の曲になったのですが。これが・・・すっごくよかったのです。口笛から入り始めたその曲(あとで「きっと君なら」だとわかったのですが)、これがあの時間のあの場所の自分に、すごくはまった曲でした。ホテルに帰って早速検索。ライブ映像の中にありました。次の日も列車移動だったので、さっそく旅のお供でリピート。メロディがいいし、歌詞はまだ粗削りで青いところが残ってるけれど、歌い方が素直だから、イヤミにならない。とても気に入りました。ただあまり他の曲は印象に残る物は正直全部というわけではなかったです(カバー曲も合う合わないの落差が大きくて)。

私自身の話ですが、音楽とはずいぶん距離ができてしまいました。新しいアーティストを知る機会は減少し、CD購入もダウンロードも全然しなくなりました。ましてや心動くことなんてほとんどなくなりました。馴染みのある曲しか聞かなくなってしまっていて、昔はもっともっと貪欲に音楽に触れていたのに。そういうのってオヤジじゃんって若い時は軽蔑の対象だったのに。でも変わったのは自分だけじゃないと思っています。音楽の世界も多分大きく変わってしまっている。自分が若い頃にあったバンドブームは、その終わり方はかなり残酷だったと思っているし、そもそも息長く活動しているアーティスト自体ばかりではない。自分の周囲で音楽で勝負と夢見ていた人間は誰も物にはならなかったし、この人たち凄いかも、と思った人もそうでない人も、自分が好きだったミュージシャンが全然売れなかったということもしばしば。それに自分が好きなタイプの曲が主流にならないことだって多い。ましてや好きだったアーティストが変節してしまうことも多い。誰かの劣化複製、誰かの後追い、ただの商品。音楽にはたくさん人生を豊かにしてもらったけれど、同じように傷つけられた気もしています。だから余計に若いアーティストを応援する気にあまりなれないのかもしれません。

だから。ちょっと言い訳めくのですが、CDの発売前予約とかを今回はしませんでした(今となっては後悔しています(泣))。そこまでの「興味」なのか確信が持てなかったし、旅の思い出のままで、よい気がしたのです。あの日は旅先だったからかもしれません。心が解放されていて、いつもよりも少し敏感に反応できただけ。ルックスもちょっといい感じのストリートライブの女の子をみた、そして気に入った曲が1つ増えた。それでいいやと思ったのです。

 気が変わったのは収録曲のアルバムタイトルナンバー「とゅもろ」を聴いてからでした。
 
 あら? すっごくいいじゃん! YUIの「again」とかを彷彿とさせるところはあるけれど、あそこまで背伸び感はなくて、アレンジもうまくて、一言で言うなら聴いていて心地いいし、口ずさみたくなる。詩もニヤッとさせられたり。
”掬ったものは全部飲み込んだ けれども吸収できるかは別の話だ"
ちょっとオモシロいですよね。東横線で寝ちゃったお隣さんに寄りかかられるのは私も実体験であります(汗)。

 アルバムやっぱり買おう!と思い直して入手しました。とてもいいアルバムでした。オープニングにふさわしい「とゅもろ」、アレンジ違いの「きっと君なら」(やっぱり名曲!)もよかったのですが、個人的に秀逸に感じたのは最後の「おやすみなさい」でした。ここまでわりと伸び伸びさんなボーカルの歌で来たので、この歌い方は不意打ちを食らってやられてしまいました。自己紹介代わりには充分な魅力のあるアルバムです。有希乃さんにとって、今回の「とゅもろ」は大きな挑戦なのでしょう。ツイキャスで「何かアルバム全体でテーマとかはないけれど(中略)作ってからしばらくしての、自分のチェックをクリアした曲」という説明をされていましたが、「きっと君なら」だけでもプロという世界で自分の「歌いたい」と客の「聴きたい」の狭間できっと奮闘されているんだろうなあと思ってしまいました(天文館のアコギバージョンの方が私は好きです(汗))。きっとここの楽曲たちがライブで披露されて、磨かれて、そこからまた新しい楽曲ができて、動画とかのネット配信で、たくさんの人に触れられて。若いアーティストの挑戦っていいですね。「音楽って楽しいんだよ」「私の曲、聴いてくれる?」みたいな初期衝動があって。そういう気持ちで音楽に接することができたのは、久しぶりだった気がしますし、同世代への応援というよりは、後に続く世代を見守りたい応援したいという感覚だと思います。有希乃さんのこれからの挑戦を応援したくなるアルバムでした。

 映画ほど目が肥えているとは言えませんので(そっちも大したことはないですが)、信頼度低めでピント外れじゃないの?と思われるかもしれませんが、ぜひ一聴してみてください。少しでもアンテナに引っかかったら、生歌にふれてみてください。(今月から来月にかけて機会がありそうです)

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2019年8月28日 (水)

『蟹の惑星』

 ☆☆☆ 蟹がスゴイ。干潟は浅いが深く、人生も深い。
0005 もうこの題名でつかみはOKですよね。だって『蟹の惑星』ですよ! 淀川さんだったら「さあ、かにのわくせい、かに、かに、このかに、なんでしょうねぇ・・・」なんて名調子が続くかも知れません(笑)。題名とチラシをみて、みたい!となっていた1本は、視覚的なおもしろさに充ちた秀逸な作品となっていました。でもそれだけではなく、『東京干潟』と共にみることで人間への深い洞察力を備えた豊かな作品でもありました。

 すごかったのはやはり蟹の映像です。単純にすごかった! 花、虫、動物、それぞれに面白さはあると思うのですが、蟹が被写体としてとにかく魅力的。美しさ、かわいらしさ、グロテスクさが渾然一体となって、まるで『スターシップ・トゥルーパーズ』のバグたちみたいで、動く動く。そしてそれをきちっと魅力的にとらえています。小さな物を大きく写すだけでも映像はぐっとオモシロくなりますが、とにかく今までみたことがないものばかりでした。よくぞ、これだけ映像に収められましたね!と驚くばかりです。予算規模的に必要最低限のセットアップの中で、レンズなどの機材のセレクトや、撮影方法など技術的な裏話は尽きることがないのでは、と思うほどすごかったです、間違いなく労作です。

 さて。本作で意見が分かれるかも、と思ったのは蟹の観察をしている吉田さんの存在です。この映画に関しては吉田さんの比重のかけ方が難しかったと思います。吉田さんの解説が加わることでわかりやすく、観客の知的好奇心を刺激するという点も事実ですから、入るのはおかしくない。でも蟹の映像の方が圧倒的に魅力的なので、観客の立場からすると、吉田さんより蟹がみたい(汗)。ご自宅の様子とお孫さんのエピソードは不要と感じる人はいると思います。ただ、もし『蟹の惑星』が吉田さんをただの解説者にしてしまったら、これは干潟の映画ではなく、蟹の記録映画になります(それはそれで魅力的な気はしますが(汗))。ではなぜそうしなかったのでしょうか。

 やはり本作は『東京干潟』と一緒にとらえなくてはいけないのではないか、と思いました。というのも『東京干潟』をみた後で、私の中の疑問として浮かんでいたある点が、『蟹の惑星』をみてあっさりと氷解したのです。『蟹の惑星』が驚くほど『東京干潟』と表裏一体となっていたことで、監督の狙いがくっきりと浮かび上がってきました。端的にいってしまえば、しじみが蟹であり、吉田さんがしじみのおじいさんなわけですが、ただ比重の掛け方が違う。『東京干潟』の主役はおじいさん、『蟹の惑星』は蟹。じつはこの比重の違いもカギになっています。

 芸術表現の中には、いくつかを組み合わせてとらえることで、意味が変わってくるものがよくあります。映画の場合にも、もともと関連があったり、結果的に関連することになったり。有名なところではイーストウッドの硫黄島2部作がありますが、あれは同じ時刻の同じ場所を視点を変えて描くというアプローチで硫黄島での激戦を描き、それでいて実は描こうとしている戦争の虚しさは共通していて、それが1本で描くよりも、よりくっきりと浮かび上がっていました。村上監督はさまざまな生き物が共存する干潟という不思議な不思議な場所をとらえるにあたって、何よりその多面性をとらえたかったに違いない。監督は『東京干潟』と『蟹の惑星』がもともとは1つの作品で構想していたと語っていらっしゃったのですが、でもその多面性をとらえるには1本の作品ではない形の方がよいと考えたのだと思います。(最初はオムニバスっぽいものをというのも頷けました)。

 疑問だったのは、自然を題材にしたドキュメントにありがちな、干潟保護という観点での自然保護を声高に訴えるようなメッセージ性が『東京干潟』には希薄だったことです。というのも明らかに干潟を危機にさらしているのは人間ですから(汗)、そちらに怒りの矛先が向いても仕方がない題材です。でも村上監督の狙いはそこではないのかな、までは思っていました。しかし今ひとつ、おじいさんにフォーカスした構成に監督の狙いまでは『東京干潟』だけでは私にはみえてきませんでした。
 両作をみおえて、自然と人間とどちらにフォーカスしたかが大きな違いなのですが、逆に共通点はやはり2人のおじいさんです。別の作品で並行して描くことで、監督が作品の中で人間をどうみつめているかをはっきりと浮かび上がらせています。それは経済的なものとか能力の優劣とかではなく、その人がどんな生き方をしているか、という点です。2人のおじいさんが抱える現実の違いはやはり大きく感じます。もし1本の作品でやっていたら、どうしても比較が生じるでしょう。でも2作にわけて作品内で描く比重のかけ方も変えたことで、観客側の受け取り方が変わるのです。キャットフードや道具が並ぶ小屋と、蟹の資料がずらりと並ぶ部屋が同じに見えた。孫の話と猫の話が重なった。どちらの生き方がいいとかじゃなくて、どちらのおじいさんも「元気かなあ」なんて思ってしまうのです。
 人間から虐げられたネコたちや、小さな蟹たちの姿にフォーカスしながら、干潟を通して干潟にいる2人のおじいさんと知り合うことができた。その姿を見つめながら、できれば、しじみもネコも蟹も、もちろんあの2人のおじいさんたちも干潟とともにこれからも生きていけますように、という祈りにも似た監督の願いがくっきりと浮かび上がってきます(『東京干潟』のクライマックスでの祭り囃子は、『蟹の惑星』をみていないと全く受け取る意味が違うと思います)。そしてそれをみた私たち観客も、どちらのおじいさんのような人生にもなる可能性があるけれど、きっと誰とも違う人生をこれからも歩んでいく。そんなたくさんの人たちがまるで干潟のように共存できるといいなあ、と願うのです。このような様々に多重化した面白さが『東京干潟』と『蟹の惑星』両作で生み出される真骨頂なのです。

 実に豊かな時間を過ごすことができた、みてよかったと思える2作品でした。これからも上映の予定があるそうです。その時には紹介したいと思いますので、ぜひ機会をみつけてご覧いただければと思います。(ポレポレ東中野)

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